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9月18日(金) 参院本会議 鴻池特別委員会委員長問責決議案 賛成討論全文

平成27年9月18日(金)参議院本会議で行なわれた、鴻池特別委員会委員長問責決議案に対する真山勇一 法務委員会理事の賛成討論の全文です。


討論の様子

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鴻池特別委員会委員長問責決議案 賛成討論 全文(文案)


2015年9月18日
参議院議員 真山勇一


維新の党の真山勇一です。私は、会派を代表して、鴻池祥肇(こうのいけ よしただ)平和安全特別委員会委員長の問責決議案に賛成の立場から討論を行います。


●鴻池委員長に失望


私は、鴻池委員長のことを悪く言う人を知りません。そのお人柄と見識は素晴らしく、特別委員会での磯崎総理補佐官に対する叱責の言葉は、私の心に沁みるものであり、今もはっきりと覚えています。また、委員会運営にあたっては、時に総理にまで直言され、苦言を呈されることも度々見られ、まさに「保守の矜持」と申し上げるにふさわしい振る舞いであると感じました。
それだけに、「良識の府」である参議院から良識を奪い、議会制民主主義を根底から覆すような昨日の委員会における、鴻池委員長の采配が、私にはとても残念でなりません。「良識の府」の末端の一員である者として、国民の皆さんに対し恥ずかしく、また、大変、申し訳ない気持ちでいっぱいです。


●議論の継続が必要だった


昨日は、あんな形で議論を終えるべきではありませんでした。私達、維新の党も、かねてより、我が国の平和と安全を守るための法整備の必要性を訴えて「独自案」を作成、与野党の皆様とのしっかりした議論をお願いしてきました。国家の将来を左右する大事な法律ですから、何よりも合憲性の確保が大切です。しかもそれは、国民の広範な納得の上に成立する必要があります。実際、過去のPKO協力法や有事法制などは、何年もかけて複数国会での議論を継続し、与野党ともに忌憚のない意見をぶつけあい、その結果、一定の合憲性が担保され、多くの国民の支持を得る法律として制定されました。
私達は、今回もそうしたプロセスが踏まれるものと期待していました。今月十四日には政府案が前提としてきたホルムズ海峡の機雷掃海等の立法事実が何もないことが判明し、「では、何のための法律を作るのか」という議論に入ったばかりでした。そして、政府が恣意的に運用できる範囲がどこまでなのか、政府案に基づく個別・具体的な検証と確認の作業はこれからだったのです。また、我が党案への議論はようやく始まったところでしたし、民主党と共同提出した「領域警備法案」に至っては議論がまだ始まってもいません。しかし、昨日朝の「だまし討ち理事会」に始まる一連の大混乱と、一体何が行われたのか国民の誰も確認できない異常な「採決」によって、大切な議論は突然に終わってしまいました。


●記録は「議場騒然、聴取不能」の八文字のみ


特別委員会では、五回の採決が行われたといいます。なんとなく、与党の人々が七回か八回くらい立ったり座ったりしたような気がしていましたが、まさか採決が行われているとは思いもよりませんでした。その時、鴻池委員長の姿は、委員長席に駆け寄った委員でもない自民党議員たちに完全に覆い隠されており、どのタイミングで、何の採決に対して与党の人々が賛成の意を表明されたのか、さっぱりわかりませんでした。混乱を極める委員会の様子は、テレビで中継され全国津々浦々に流れました。
映像をみていた全国の皆さんも、同様にわけがわからなかったのではないでしょうか。
また、付帯決議もついたと聞いています。野党三党との修正協議によって、自衛隊の海外派遣にあたって「例外なき国会承認」が行われることになったと言われていますが、やはり、国民の誰もその事実を知らないのではないでしょうか。
採決は行われたのか。どんな付帯決議がついたのか。それからもうひとつ、与党の皆さんが真摯に受け止めると言っていた、私達、維新の党の「独自案」はいったいどこへ行ってしまったのでしょうか。記録を確認しようにも国会議事録を見ても、どこにもそんなことは書いてないのです。書いてあるのは、この文字だけ。


「・・・議場騒然 聴取不能・・・」。


平和安全特別委員会の採決記録に残されているのは、この、たった八文字だけなのです。もし、このままの状態で、政府・与党が本会議において採決を強行するのであれば、未来永劫、この八文字だけが会議録に残ることになります。そして、この八文字によって自衛隊は海外に派遣され、場合によっては戦地で殺されたり、また、他国の人を殺すことになるかもしれないのです。
この変えられない結果をもたらしたのは鴻池委員長、あなたです。こんな形で委員会を通過した法律によって、災害復旧や救助の活躍等で国民全員から称えられ、尊敬さえ集める自衛官の方々を戦地に送るのでしょうか。そして、日本国民の全てが、海の向こうの顔も知らない人々から、またも何十年、何百年と「憎しみ」を浴び続けるようなことになってもいいのでしょうか。


●安倍政権に「法の支配」「民主主義」を標榜する資格はない


安倍政権の人々は、常に「法の支配」という言葉を使います。「法と正義」や「民主主義」といった「基本的価値観」を共有する国々と連帯し、協力して、国際社会の安全と繁栄に努めると胸を張っておっしゃいます。そして、「一部の人々」が統制主義的な手法をもって専制的に統治する国々を危険視し、国民の危機感を煽るような言辞を繰り返しています。ですが、昨日、ご自身たちのなさったことを振り返って、恥ずかしいとは思われないでしょうか。
「法の支配」といいながら、その「法」というのは「議場騒然、聴取不能」というたったの八文字をもって、「一部の人々」が「成立した」と言い張っているシロモノに過ぎません。「民主主義」とは単なる多数決では断じてなく、ルールにのっとった対話と議論のプロセスによって、よりよい国家の在り方を作り上げていく手続きとマナーのことを言うはずです。それを根底から破壊したのは政府・与党です。これでどうやって他の民主的先進諸国と肩を並べる一方、専制主義的国家を揶揄することができるのでしょうか。
私達、維新の党は、これまでの審議においても徹底的に、議会制民主主義の手続きをしっかり守り、外形上でも、内容的にも立憲主義を堅持すべく、大事なことは全て法文上に直接書き込むようにとお願いし続けてきたのです。


●鴻池委員長の残した「汚点」


しかしそれは、鴻池委員長がまさかこんな行動をとられるとは信じられない暴挙によって、全てが崩れてしまいました。私は、誰もが敬愛し、尊敬する鴻池委員長のような方こそ、「保守の重鎮」としてこれからますます活躍されるべく、次のステージへと飛び立っていただくことが、保守、リベラルを含めた全ての日本国民にとって望ましいことだと思っています。しかし、残念ながら飛び立つ前に、「立つ鳥、後を汚さず」どころか、鴻池委員長は憲政史上に残る永遠の「汚点」を残してしまいました。
そして、これは考えたくもないことですが、昨日の採決のやり方が「悪しき前例」となって残っていくのであれば、後世の日本国民全員にとって悔やんでも悔やみきれない結果を招くことになりかねません。今後、どのような政権が権力を握ったとしても、あのような形で法律を作るようなことは二度とあってはならないと考えます。だからこそ、今開かれている、この参議院本会議が今、「最後の良識」を振り絞って鴻池委員長の責を問わなければならないと、私達は考えているのです。
おそらく、この後、問責決議案に「反対」を投じる与党議員の方々こそ、この意味をよく考えていただきたいと申し上げて、私の討論を終わります。ありがとうございました。


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審議の様子はこちらでご覧いただけます
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php