政策

日本の改革を実現する新エネルギー政策

経済の停滞、少子高齢化、人口減少、気候変動、収束をみない原発事故など、地球規模の大きな課題に直面する日本。高度経済成長を成し遂げてきた日本社会は失われた20年に入ったまま、未だに新しい社会の形を見いだせていません。自民党政権は、過去の経済成長のモデルに固執して時代を逆行して改革の舵を切ろうとしません。
維新の党は、原発に巣食う既得権益を打破し不良債権化した原発依存から脱却、再生可能エネルギーを最大限活用したエネルギーシステムへの移行を同時平行で実現する新エネルギー政策で日本を改革します。

1 「原発フェードアウト」から始まる日本の新しいエネルギー政策

既得権の象徴ともいえる原発関連の組織(原子力村)を解体、電力システム改革を徹底し大手電力会社中心の大規模集中型の電力システムから地域分散地産地消型の電力システムへの移行を進めます。負の遺産となる原発の廃炉は国がその実施に責任を持ち、独立した廃炉監視組織の監督の下に安全確実に実行します。原発再稼動を厳格な基準に基づいて行い、安易な再稼動を認めません。

  1. 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)を復活させ福島第1原発事故への責任ある対応を徹底する。事故の早期収束を目指し、汚染水問題、廃炉処理、除染、健康被害対応、事故原因究明を国の責任で進める。原子力規制委員会の原子力村からの独立、権限の明確化・強化を実現する。
  2. 原発再稼動を厳格な基準に基づいて行い、安易な再稼動を認めない。原発再稼働にあたっては、必要性と許容性を徹底的に検証し、実行可能な避難計画の立案、核廃棄物の最終処分、自治体の同意まで視野に入れた「原発再稼働責任法」を制定、責任の所在を明確にした上で限定的に認めるものとする。
  3. 40年廃炉原則を厳守し、(着工済みの原発も含め)原発の新増設は認めず、2030年代原発ゼロを実現する。廃炉に関わる法整備を進める。廃炉にともなう電力会社への会計上のインパクトの軽減を図るとともに、廃炉にかかわる費用、核廃棄物の処理コストの負担等について将来世代に過度な負担を与えない制度を確立する。
  4. もはや合理性を見出せない核燃料サイクル事業からの撤退を決定する。使用済み核燃料、放射性廃棄物については直接処分の方法(乾式キャスクによる保管等)を確立し、最終処分も含めた安全安心な管理体制を国の責任で早期に確定する。原発立地自治体や六ヶ所村再処理工場が立地する青森県を含めた議論を経て、使用済み核燃料の取り扱いに関する新たな取り決め、処分方法の確立を目指す。

2 「原発フェードアウト」を新たなビジネスにつなげる

「原発フェードアウト」をビジネスチャンスに繋げます。福島原発事故を収束させるために原発廃炉技術のさらなる高度化が求められています。日本全国に48基の原発廃炉と合わせて世界で必要となる廃炉技術の輸出、廃炉ビジネスの世界展開を目指します。廃炉と合わせて新しい原子力技術の利用分野を開拓、原子力技術者の育成につなげます。

  1. 福島県に廃炉技術および核廃棄物の減容・保管、放射能影響モニタリング、放射能の健康影響等の研究施設を誘致、世界の原子力研究者の英知を結集し、福島第原発事故の収束、廃炉作業の確実な実行を支援する。あわせて、原子力技術者の育成を進める。
  2. 福島原発事故の経験、廃炉技術等をパッケージ化して、既存原発の安全対策、運転終了後の廃炉作業のノウハウの輸出を目指す。
  3. 原発立地自治体の自立を促す施策を実施する。原発に頼らない地域経済の基盤の確立、経済活性化、雇用の維持、地域住民主体のまちづくりを支援する。原発立地地域を新エネルギー導入促進特区に指定し、原発関連インフラを活用した持続可能な新エネルギー基地へと変革させる。

3 成長戦略としての再生可能エネルギー、「自然エネルギー立国」実現

再生可能エネルギーへのシフトを成長戦略の柱にします。太陽光発電、風力発電、地熱発電など成長産業として期待されていたにもかかわらず、原子力・化石燃料からのシフトに遅れたために伸び悩んでいます。いまこそ、再生可能エネルギーへのシフトを実現させ、新しいエネルギー技術を育て、世界に発信します。

  1. エネルギー自給率の向上に取り組む。エネルギー安全保障の観点から将来的に世界の潮流となっている省エネと再生可能エネルギーによるエネルギー自給率100%を目指す。
  2. エネルギー基本計画の抜本的に見直す。再生可能エネルギーを基幹電源と定め、その最大導入を目標として2030年に再生可能エネルギー比率40%以上を目標にする。再生可能エネルギー新集中導入期間を5年間設定し、あらゆる政策を集中的に実施する。
  3. 長期的には高コストになることが予想される化石燃料および隠されたコスト、未確定なコストを含み高コストな原子力への依存から脱却し、導入の加速化とともに低価格化が進む再生可能エネルギーへのシフトを実現、安定した低価格なエネルギー供給を実現する。
  4. 再生可能エネルギーの利用拡大と自然環境の保全との両立を目指す。土地利用のゾーニング、環境影響評価手法の確立、地方自治体の権限強化などを通して、再生可能エネルギーの乱開発による環境破壊を未然に防止する。また、太陽光パネル等の再エネ施設のリサイクルを促進する。
  5. これまで原発に投入してきた予算を振替えることで財源を生み出し、次世代のエネルギー関連技術の開発に国を挙げて取り組む。次世代型太陽光パネル、洋上風力発電、環境調和型地熱発電、高効率蓄電技術、直流ネットワーク、再生可能エネルギーと組み合わせた地域自立型水素社会モデル、スマートコミュニティ、デマンドレスポンスなど、新たな技術開発を加速化する。
  6. 原発輸出に替わる次世代エネルギー関連技術の輸出のための支援を徹底する。エネルギー不足、環境汚染に苦しむ発展途上国や地域への再生可能エネルギーを基幹電源とするエネルギーインフラ輸出を促進する。

4 日本の社会インフラとしての再生可能エネルギー

導入が進むことで再生可能エネルギーの発電コストは劇的に下がっていきます。日本経済の足かせとなってきたエネルギーコスト高を抜本的に解消することが出来るのは再生可能エネルギーに他なりません。電力システム改革を進め電力市場の自由化を通して、市場原理に基づく脱原発、再生可能エネルギーの拡大を実現します。これにより、2030年代原発ゼロを達成した時点の電気料金は、現在と同水準又はそれ以下となることを目指します。

  1. 固定価格買取制度は再生可能エネルギーの導入促進に大きな役割を果たしている。よりきめ細かな買取区分設定(規模別条件別価格設定など)、設備認定の運用の見直し、再生可能エネルギーの優先接続の徹底など再生可能エネルギーの拡大の趣旨に沿った改正を行う。
  2. 電力系統設備の計画的な整備、効率的な全国一体の運用のために、所有権分離を前提とした系統の独立を実現。再生可能エネルギーの最大導入を実現するため、電力会社任せにせず、国策として新たな社会インフラとして電力エネルギー送電網の整備を進める。地域間連携線の運用ルールを見直し、地域間のエネルギー融通が最大限出来る仕組みを確立する。
  3. 発送電分離を中心とする電力システム改革を確実に実施、電力市場における公正な競争を実現する。電力料金の高値安定を招いた総括原価方式から市場メカニズムによる価格決定へのシフトを徹底する。送配電分野における大手電力会社の不当な影響力を排除、託送料金の透明化を実現、多様な特色のある電力小売会社(PPS)の参入を促す。
  4. 電力小売における電源構成表示の義務化など、電力自由化を受けて消費者が的確に電力会社を選択、購入できるよう市場の環境整備を進める。第三者機関による市場の監視を徹底する。

5 気候変動対策の切り札としての再生可能エネルギー

究極の気候変動対策は省エネと再生可能エネルギーへのシフトです。化石燃料の使用を押さえ、持続可能で環境に優しい再生可能エネルギーをベースとしたエネルギーシステムへの切り替えを進めます。2050年二酸化炭素排出量80%削減(90年比)を実現、先進国としての責任を果たします。

  1. 再生可能エネルギーへのシフトに加えて、さらなる節電・省エネを進める。2030年に2010年比年間電力需要の30%削減を目標とする。高効率機器への切り替え促進、ゼロエネルギー住宅の拡大、新築住宅の太陽光パネルの設置義務化等に加え、無駄の削減、クールシェアなどライフスタイルの工夫による削減などエネルギー消費総量の低減策を推進する。
  2. 熱利用の拡大を目指す。ニーズに合わせて発電と熱利用のベストミックスを目指す。電熱併給のコジェネレーションの導入、熱エネルギーの面的利用(地域熱供給等)など熱エネルギーの効率的な利用を進める。
  3. 再生可能エネルギーの普及拡大を待つあいだのつなぎの発電源として高効率天然ガス火力発電の利用を促進する。天然ガスの輸入価格の低減を目指し、販路の拡大、天然ガス開発への出資等の施策を検討実施する。二酸化炭素排出量の多い石炭火力への依存を低減する。

6 エネルギーデモクラシー、エネルギー改革を通して社会を変革する

官僚や大企業の中央主導の社会システムから、地域が自立した社会システムへ、消費者が意志を持って暮らしや未来を選択できる社会へ。エネルギー改革を通して、日本の構造改革を目指します。真の地域主権をエネルギーを切り口に実現します。

  1. 全国各地で立ち上がるコミュニティパワー(地域住民主導)による発電事業を支援し、地域でお金が回るエネルギー事業を推進する。固定価格買取制度と合わせて市民が活用できる融資制度、市民出資などの制度の充実を図り、資金面からの支援を実現する。
  2. 農山漁村や過疎地域などを再生可能エネルギーで活性化する取組を促進する。農林漁業とエネルギー事業の両立、エネルギー兼業を実現する。そのためにソーラーシェアリング、バイオマス発電、洋上風力発電等の利用拡大のための制度と技術の確立を目指す。
  3. エネルギーに関する情報公開を進め、エネルギーの選択、利用に関する市民参加の機会を広げる。エネルギー改革を通して官僚主導、大企業依存の社会システムから地域主導市民主導の社会システムへの変革を目指す。