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原発再稼働に関するコメント

原発再稼働に関するコメント


平成27年8月11日
維新の党代表 松野頼久


本日、九州電力川内原子力発電所1号機(鹿児島県)の原子炉が起動し、再稼働が始まった。


維新の党は、国策としての原発推進を全面的に見直し、電力自由化による対等・公平なコスト競争を通じた原発の市場からの退出、すなわち「原発フェードアウト」を基本方針としている。このため、当面の原発再稼働にも厳格な条件付けを法定することが必要だと考えており、「原発再稼働責任法案」の国会提出を準備中である。この中では、(1)国・地方・事業者の権限と責任の明確化、(2)地域防災計画の継続的充実強化と国の関与、(3)周辺自治体の同意の法制度化、(4)放射性廃棄物の最終処分プロセスの見直しを定め、これらを満たさない限りは、再稼働を認めないこととしている。


(1)については、現状では、原子力規制委員会は規制基準への適合判断はするものの、原発再稼働を誰がどのように決定するのかという判断と責任の主体が明確でない。また、原子力損害賠償支援機構法成立の際に明記された原子力賠償法の抜本的見直しは手つかずで、事故発生時に、国・地方・事業者のそれぞれが、いかなる場合に、いかなる賠償責任を負担するかが不透明である。そこで、わが党の法案では、国が再稼働の最終判断主体であることを明確にし、原子力損害における国・地方・事業者の責任の所在を明確化した。


(2)の避難計画の策定については、現状は事実上、自治体任せになっており、実効性が疑われている。そこで、わが党の法案では、規制委員会の関与と、避難計画策定へのPDCAサイクルの導入による計画の継続的充実強化を定める。


(3)の再稼働の前提となる地元の同意については、現行法上、同意が必要な自治体の範囲が法定されておらず、混乱が生じている。わが党の法案では、原発再稼働の際には、当該原子炉に係る緊急防護措置計画範囲(UPZ)に入る都道府県の同意を条件としており、都道府県知事は、UPZを区域に含む市町村長の意見を聴くものとしている。


(4)については、使用済み核燃料の貯蔵容量が数年分しかないと言われる中で、最終処分の方法の目途も立たないまま再稼働を進めるのは無責任の誹りを免れない。わが党の法案では、原発から電力供給を受ける自治体に、最終処分場選定についての文献調査(地域の火山噴火や地震の記録など歴史的文献の調査)の実施への協力義務を付与するものとしている。


現状は以上の前提条件を満たしていない上に、火山噴火、事故対応設備等に関して専門家から投げかけられている不安も払拭できていない。したがって、川内原発の再稼働には反対である。また、こうした懸念が多く残る中での次なる原発再稼働にも否定的態度を取らざるを得ない。国民の不安を払拭できないまま、結論ありきで原発再稼働に突き進むかのような政府の姿勢に危惧を覚える。再度の過酷事故を起こしてしまったら、日本の国家としての信用はそれこそ地に墜ちるという事を肝に銘じなければならない。政府は、安全確保よりも経済の論理を優先しているのではないかという国民からの疑念に答えるためにも、再稼働の決定プロセスと責任の所在を明確にし、安全対策に真摯に取り組まなければならない。