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自民党・公明党による安保法案採決にあたっての党見解

平成27年7月15日、自民党・公明党による安保法案採決にあたっての党見解を公表しました。


自民党・公明党による安保法案採決にあたっての党見解(PDF形式)




自民党・公明党による安保法案採決にあたっての党見解


維新の党
平成27年7月15日


5月26日の審議入りから1ヵ月半、戦後70年、平和国家としての道を一貫して歩んできた日本のあり方が大きく変わる可能性のある安倍政権の安保法制に、真剣勝負で徹底審議に臨んできました。
特別委員会の冒頭から安倍総理、中谷大臣が自らの答弁や不規則発言について釈明するところから始まり、いわゆる武力行使の新3要件や重要影響事態をめぐる閣僚の答弁で、審議はたびたびストップしてきました。
度重なる質疑の結果、政府の武力行使の新3要件における「存立危機事態」、すなわち「わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、それによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」とは、集団的自衛権の「限定容認」と言いながら、その実、石油の途絶による経済危機でも武力行使が可能になる、石油のみならず天然ガスでもウランの途絶でも武力行使が可能になる、サイバー攻撃でアメリカ社会がガタガタになり日本に危機が及べば武力行使が可能になる、極めて曖昧で、歯止めはないも同然で、つまりは時の政権が「日本の存立の危機」と判断すれば武力行使できるという、時の政権にフリーハンドを与えかねない規定であるという事が、国会答弁で明らかになってきました。
その結果、衆院憲法審査会では、自民党推薦の長谷部恭男先生までを含む憲法学者3人から揃って「憲法違反」と痛烈なダメ出しを受け、阪田雅裕氏、宮崎礼壹氏、大森政輔氏と歴代内閣法制局長官経験者からも揃って「憲法の範囲を逸脱している」と懸念が表明される事態となりました。国民の不安も高まる一方で、結果、審議日数を重ねれば重ねるほど、国民の理解は深まるどころか、今国会での法案成立に反対の声が日増しに増している状況となっています。
維新の党は、何でも反対の抵抗野党ではありません。わが国をとりまく安全保障環境の変化の中で、今のまま何もしなくて良いという立場を取っている訳ではありません。従って、憲法適合性を確保しつつ、日米同盟を基軸として、自国防衛に万全を期すための、安保法制の維新の党独自案を策定し、7月8日、衆院に提出させて頂きました。拡大解釈の余地が余りにも大きい政府案の「存立危機事態」に対して、条約に基づき日本防衛のために活動している周辺地域の外国の軍隊、すなわち米軍が武力攻撃を受け、それが日本への直接の武力攻撃に即時に波及する危険が高いと認められる場合に限り、日本として「坐して死を待つ」のではなく、日本への武力攻撃の「着手」と見なして、米軍と共同での武力行使を含めた事態対処を可能にする、「武力攻撃危機事態」を防衛出動の要件として規定しています。憲法学者や内閣法制局長官経験者も、この維新案の「武力攻撃危機事態」を、従来の憲法解釈の枠内にあるもので合憲と評価しています。
維新案は合憲、政府案は違憲。この評価をもとに、当特別委員会での政府案との並行審議に臨んでまいりました。ここまで維新の党独自案に対して、法案提出者への質疑を頂いた議員の質問時間数の合計は5時間余りにしかなっておらず、また、「維新案は国際法違反ではないか」との問題提起も頂き、これについては私達の側から、「国際法の専門家をお招きして参考人質疑を行ない、黒白をはっきりさせるべき」と委員長に求めてまいりました。また自民党・公明党との党対党の協議も、高村副総裁、北側副代表という両党の権威にご対応頂き、引き続き協議を継続しようと、昨日、決めたばかりでした。
このように、並行審議は始まったばかりで、政府案への国民の理解と賛同はますます得られていない状況に陥っているにもかかわらず、「議論は尽くされた」などと言って審議を打ち切り、今、ここで特別委員会の採決を行なおうというのは、言語道断と言わざるを得ません。これ以上、審議すればするほどボロが出るから、数はあるからさっさとやってしまおう、という、最近の自民党所属議員に見られる数の驕りが表れているものとしか言いようがありません。


自民党・公明党は、維新との協議を継続しながら、特別委員会では、審議が不十分な中、また、国民の理解が得られていない中、強引な採決の挙に出ました。これに対し維新の委員は、特別委員会に先立つ党両院議員総会で決定した方針に則り、維新の党独自案の提出会派として、自ら出した法案の採決には責任を持つため維新案に賛成したのち、政府案の採決には断固たる抗議の退席をしました。わが党は、明日開会される衆議院本会議においても同様の行動をとる方針であります。
維新の党の考え方と行動に対しまして、国民の皆様のご理解、ご支援をお願い申し上げる次第であります。