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1月26日(火) 衆院本会議 衆議院施政方針演説に対する代表質問 全文

平成28年1月26日(金)衆議院本会議で行なわれた、衆議院施政方針演説に対する松野頼久代表の代表質問の全文です。

代表質問の様子

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衆議院施政方針演説に対する代表質問 全文(文案)


1 はじめに


 維新の党の松野頼久です。統一会派 民主・維新・無所属クラブを代表し、安倍総理の施政方針演説に対して質問いたします。
 本論に入る前に、甘利大臣の金銭疑惑について、一言、申し上げます。UR都市機構への働きかけに伴う、金銭授受の疑惑が報道されています。
 大臣は以前、「すべてを秘書の責任にして、何ら関与していないという政治家の説明が、国民に理解されるはずがありません」という趣旨の発言をしました。
 甘利大臣は、職務権限を持つ内閣の一員として、今回の疑惑に答える責務があります。迅速かつ説得力を持ったご説明をしていただきたい。そのことを強く求めた上で、本論に入ります。


 まず、選挙制度改革について伺います。衆議院選挙制度調査会は、16回もの会合を重ね、その検討結果を1月14日、大島衆議院議長に答申しました。調査会の委員の方々、そして伊吹前議長と大島議長のご尽力に心より敬意を表します。
 答申の10削減案については、国会議員定数の3割削減を掲げる我が党の考え方からすれば、まったく不十分です。消費税増税を国民に押し付けていながら、我々国会議員が、衆議院の議員定数475のうち、わずか0.2%の10削減で、のうのうとしていることは、とても国民から理解を得られません。なぜ、大幅な削減ができないのですか?
 先日の代表質問の際にも申し上げましたが、自民党は、2010年の参議院選挙におけるマニフェストで、3年後に衆参国会議員の1割、72名を削減、6年後に3割、222名の削減を主張しました。約束した期限は、とうに過ぎているのです。衆議院では、自民党は単独過半数、291、参議院でも自公合わせて134の過半数の議席を持っているのですから、やろうと思えばできるではないですか。
 にもかかわらず、自民党内では、自分たちの議席を守るために、今回の答申の10削減案に対してすら反対する動きがあると、報道されています。せめて、これぐらい、文句を言わずに直ちにやろうではないですか。
 まったく不十分な数ですが、削減しないより良いという立場で、我々は賛成しますよ。
 また、今回の答申では、一票の格差を是正するために、アダムズ方式の採用も盛り込まれています。今のままの区割りでは、国勢調査が発表されるたびに、違憲状態の選挙区が生じてしまいます。
 我々は、それを解消するためのアダムズ方式に賛成いたします。総理には、自民党総裁として、アダムズ方式の採用も含め、答申通りに実行するかどうかを、お答えいただきたいと思います。
 今年はダブル選挙もあり得ると、報道されています。よもや違憲状態の区割りのままで、衆議院を解散することはないでしょうね。安倍総理は、参議院選挙後の憲法改正を訴えています。もし、衆議院が違憲状態のままでダブル選挙を強行し、3分の2の多数で憲法改正を発議するということになれば、「違憲な選挙で得た、無効な議席による、無効な発議」という異常事態になりかねません。お考えを聞かせていただきたいと思います。


2 アベノミクスの総括


 総理は昨年まで、株価が上昇したことを「アベノミクスの成果」として盛んに発言してきました。しかし、今年に入り、日経平均株価は大幅に下落し、下げ幅は一時、3,000円に達しました。もちろん、世界経済の動向の影響があります。しかし、マーケットがアベノミクスの第三の矢、すなわち成長戦略を疑問視しているという側面もあるのではないでしょうか?
 設備投資の増加ペースは鈍く、賃金の増加、消費の増加という好循環にも、つながっていません。アベノミクスで結局目立ったのは、日銀が行った金融緩和だけで、財政政策と成長戦略は目に見える効果が上がっていないではないですか。
 この状況を打破するためには、岩盤規制と言われる農業、医療・介護などの分野で、大胆な改革を進める必要があります。安倍総理は一昨年のダボス会議で「今後2年間で、残された岩盤規制をすべて打ち砕く」と宣言し、今、その2年が経過しました。
 しかし、農業の参入規制緩和は小粒で不十分なまま。医療・介護分野の参入規制緩和は進んでいません。岩盤を打ち破るための安倍総理のドリルは、残念ながら小さくて弱すぎます。規制で守られた「既得権益」から、多くの組織票や献金をもらっている安倍自民党には、「岩盤」を打破する改革は期待できず、「第三の矢」は、依然として飛んでいないと言わざるを得ません。
 総理、アベノミクスによる規制緩和は充分だとお思いですか?成長戦略は成功したとお考えですか?お答えいただきたいと思います。


3 新三本の矢


 「新三本の矢」について伺います。安倍総理は、昨年9月、安保法案の強行採決からわずか一週間後に、「新三本の矢」として、「GDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」を打ち出しました。
 「GDP600兆円」については、毎年、実質2%、名目3%以上の成長を掲げています。しかし、足元の実質成長率をみても、昨年の4~6月期はマイナス0.1%、7~9月期は0.3%と、低い伸びにとどまっています。10~12月期も同様でしょう。
 今後は10%への消費増税もひかえています。経済界からも、600兆円の実現を疑問視する声が挙がっています。当然です。今後、どのように3%成長を実現し、それを続けるのか、説得力ある道筋を具体的かつ定量的にご説明いただきたい。
 次に「希望出生率1.8」についてです。「50年後に人口1億人維持」という目標を掲げていますが、仮に出生率1.8が実現しても、50年後に1億人は維持できません。
2030年に1.8を実現し、2040年に2.07まで上がり、その後も2.07を続ければ、
2060年における1億人維持が可能です。
 「空前のベビーブーム」を、20年間にわたって起こし続けなければなりません。しかし、これまでと同じような対策で、「空前のベビーブーム」など起こるはずがありません。そこで、安倍内閣が引っぱり出してきた言葉が、「希望出生率」という概念です。要するに、子どもが1.8人ぐらいは欲しいという話で、単なる「希望」にすぎません。どの政策によって、何年で出生率をどこまで上げるのか、具体的かつ定量的に説明していただきたいと思います。
 次に「介護離職ゼロ」についてです。政府は「特別養護老人ホームの大幅な整備」によって、52万人の入所待機者を解消するとしていますが、最も不足しているのは介護職員のなり手です。ハコモノ偏重では意味がありません。
 最大のカギは、介護職員の待遇改善なのです。増え続ける社会保障費の増大をできるだけ抑えながら、他の産業の賃金を大きく下回っている介護職の賃金を、今後どうやって引き上げていくのか、総理に伺います。
 また、働きながら介護できる環境づくりも重要です。介護開始前と同じ職場で、働き方を変えずに仕事を続けられる介護時間の限度は、「仕事がある日」は2時間、「仕事がない日」は5時間だといいます。「時短」と「ワークシェアリング」が有効な介護離職対策です。しかし、ワークシェアリングに至っては、平成18年度を最後に、政府の取り組みが見られません。これについて、総理はどのようにお考えなのか、伺います。


4 社会保障と消費税


総理は現在、家族で介護をなさっている方々の数をご存知でしょうか?
383万世帯です。
533万人。 これは要介護に認定された方の人数です。
360万世帯。 国民健康保険料を滞納している世帯数です。
766万人。 国民年金保険料を払っていない人数です。
2万5,000人。 年間の自殺者数です。毎日70人が自殺しているのです。
305万人。 貧困に瀕している子どもの数です。
90万人。 65歳以上の無年金の方の人数です。
 、驚くべき数字。これが今の日本の、実態です。政府が喫緊に取り組むべきは、年金・医療・介護の仕組みを根本から立て直すことなのです。それが実現されるまでは、私たちは力を緩めません。
 社会保障制度のグランドデザインは、今後、有識者会議で検討すると仄聞しますが、その前に、総理ご自身の大きな考え方をお聞かせいただきたいと思います。


 次に、消費税について伺います。そもそも、維新の党は、徹底した身を切る改革と大胆な歳出削減を成し遂げなければ、消費増税に反対であるということを、まず明言しておきます。その上で、今回、政府・与党が導入を決めた軽減税率については、財源の問題を懸念しています。
 消費増税を決めた際、消費税収は全額、社会保障にあてることが、国民との約束だったはずです。しかし、与党は、痛税感をやわらげるため、軽減税率を導入しようとしています。しかも、財源の見通しがないまま、軽減税率を1兆円規模に拡大しています。もし社会保障費を削減して、それを軽減税率の財源に充てるのであれば、本末転倒です。
 政府・与党は、昨年末にまとめた税制改正大綱に「軽減税率は安定的で恒久的な財源を確保する」と明記しています。にもかかわらず、安倍総理は税収の上振れ分の活用もあり得るような答弁をしているのです。他方で、麻生財務大臣は、「税収は上振れも下振れもあるから、安定的で恒久的な財源とは言えない」としています。閣内不一致ではないでしょうか。税収が増えたのであれば、我々がこれまでにも訴えてきたとおり、国の借金返済に回すべきです。


 さらに危惧するのが、低所得者への所得再分配が歪められてしまうことです。第一に、軽減税率は、中高所得者が多く恩恵を受けるため、低所得者対策とは言えません。維新の党は、その問題を解決するために「給付付き税額控除」という対案を準備しています。政府として「給付付き税額控除」を採用するお考えはありませんか?総理に伺います。
 第二に、軽減税率導入の財源をねん出するために、「総合合算制度」の先送りを決めてしまったことです。総合合算制度とは、医療、介護、障害、保育の自己負担の合計額に、上限を設ける仕組みです。医療などの自己負担や社会保険料は、消費税以上に逆進性が大きいのです。総合合算制度をなぜ先送りしてしまうのか、総理の答弁を求めます。
 今の日本が抱える最大の問題は、人口減少です。現在は、子どもを望んでいるのに、経済的な理由であきらめているという声を、よく耳にします。子育て世帯の貧困率が高いことも、大きな社会問題になっているのです。
 本来であれば、子どもを産み、育てやすい環境を作るという側面から、「子育て世帯臨時特例給付金」を増額しなければいけません。にもかかわらず、なぜ「子育て世帯臨時特例給付金」を打ち切ってしまうのでしょうか?総理に伺います。


5 年金積立金運用


 株価の下落によって心配されるのが、公的年金資金の運用です。安倍内閣は、一昨年の10月に、公的年金資金の運用を大きく変えました。年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFの国内株式と外国株式への投資割合を、それぞれ12%から25%へと倍増させました。株式市場の活況を自作自演したのです。ある意味、官製相場を作り出してしまったのです。
 しかし、GPIFは昨年の7~9月期に、7.9兆円もの運用損を出しました。過去最大の損失です。加えて、この年初からの株価下落で、かなりの損失が出ていることは間違いありません。総理は、短期的な株価の動向には一喜一憂しないとおっしゃいますが、長期的に大きな損失を抱える可能性は十分にあるのです。
 年金積立金は国民から保険料として集められた貴重な財産です。株価の下落によって我々の老後資金が大きく目減りする、そのようなことがあってはなりません。年金積立金を目先の株価対策に都合良く使うようなことがあってはならないのです。長期的な資金の安全性が第一、という原点に立ちかえり、運用と組織の在り方をあらためて考え直す必要があります。
 ところが、昨年11月、経済財政諮問会議のメンバーの一人が、こう発言しました。「GPIFが機関投資家に運用委託をしているので、機関投資家に対して働きかけ、投資先の企業が必要以上にキャッシュを持っているのであれば、例えば3年以内に設備投資するのか賃上げするのか、どうするか決めさせる。決めないのであれば、配当で戻させ、そして、別に成長するところにお金を回す。そうした具合にGPIFを活用するということも、大いに効果があるのではないか」と。
 とんでもない発言です。要は、安倍政権の言うことを聞く企業には投資するが、言うことを聞かない企業には、投資すべきではないと言っているのです。
 安倍総理、GPIFはあなたの財布ではありません。国民の大切な老後を支える年金資金を、恣意的に運用することは、決してなされないですよね。安倍総理に伺います。
 また、GPIFによる恣意的な意思決定を防止するために、情報公開の仕組みをしっかりと盛り込み、国民の監視によって透明性を確保することをお約束いただきたい。答弁を求めます。


6 ODA


 総理はこの3年間、63もの国と地域を訪問し、首脳会談は400回を超えました。諸外国との外交関係を強固にするという努力に対しては、評価いたします。しかし、首脳会談の際、たびたび資金支援を表明なさったと思います。合計したところ、支援件数は38件、総額は借款等も含めて実に約32兆円にも上ります。
 財政状況が厳しい中、そこまでの大盤振る舞いをする余裕があるのでしょうか?外遊の手土産ではないですか?資金支援を決める前に、我が国が受けるメリットをきちんと分析しているのでしょうか?
 いくつか、例を挙げましょう。昨年7月の日メコン首脳会議では、今後3年間で7,500億円の支援を実施する旨を表明しました。どのような中身ですか?その資金援助が我が国にとってどのような国益に資するのですか?お答えください。
 また、一昨年の7月にパプアニューギニアを訪問した際、今後3年間で200億円規模の支援を行う旨を表明しました。これも、どのような中身でしょうか?どのような国益に資するのですか?それが国民にどのように還元されるのですか?お答えいただきたいと思います。


7 TPP


 TPPへの対応について伺います。まず冒頭、我々維新の党は、自由貿易を拡大するという基本的な考え方には、賛成であることを明言しておきます。その上で、いくつか、これまでの対応について伺いたいと思います。
 自民党と公明党は野党時代、TPPに関する特別委員会を設置するよう、強く要求していました。私が議院運営委員会の与党筆頭理事だった時のことです。しかし、自民党と公明党は、与党に返り咲いたら、特別委員会の設置を一切、拒み、未だ、設置に至っておりません。言行不一致は甚だしい。総理は自民党総裁として、どうお答えになりますか?
 さらに、農林水産委員会の決議では、TPP交渉によって入手した情報は、速やかに国会に報告すると定められています。にもかかわらず、政府は、国会に情報を秘匿したまま、大筋合意に至ってしまいました。TPPに参加を決定することは、様々な分野で様々な影響があるのですから、国民に詳しく説明することが必要なんです。
 なぜ、国会にきちんと情報を出さなかったのですか?出せる情報は直ちに出し、国会での議論が必要だと思いますが、いかがですか?総理に伺います。


8 政府機関の地方移転・道州制・補助金


 安倍内閣が目指すこの国のかたちはどのようなものなのでしょうか?政府機関の地方移転の問題を通して伺います。安倍内閣は、地方創生の名の下に、政府機関の地方移転を進めようとしています。しかし、これも中央の役所が地理的に分散するだけで、権限と財源が中央省庁に集中しているという、中央集権の構図は変わりません。
 安倍総理は、予算委員会でのわが党の水戸将史議員に対する答弁で、「地方分権を目指す」と発言しました。しかし、今回の政府機関の地方移転は、消費者庁や文化庁などの、ごく一部が検討されている程度に過ぎず、大変小粒だと言わざるを得ません。このあと、国と地方をどのような形にしていくのか、目指している国家像が全く見えてこないのです。
 わが党が目指しているのは、権限と財源と人を大胆に地方に移して、道州制を軸に「自立」と「分権」の国家像を作ることです。文化庁や観光庁や中小企業庁などを、地方に移すのではなく、中央省庁の持っている権限と財源を、地方に移すべきなのではないですか?総理のお考えをお聞かせください。
 安倍総理も、第一次安倍内閣では、道州制担当大臣を置くなど、道州制に向けて強い意欲をお持ちでした。その信念は曲がってしまったのですか?そうでなければ、どうして、小粒な政府機関の地方移転という「似て非なる改革」に走ってしまったのでしょうか?もし、まだ道州制や地方分権を進めるつもりがあるのなら、どのようなスケジュールで進めていくのか、そしてそもそも、国と地方を、どのような形にしていくべきなのか、お考えを伺います。
 今の国と地方の関係は歪んでいます。国と民間の関係も歪んでいます。国からの補助金は、毎年約30兆円も地方と民間に配られています。民主党政権が苦労して導入した一括交付金は、自民党が政権を取ったとたん、すぐに廃止されました。地方が自ら工夫して使い方を決めるための財源が消されてしまったのです。自由度の高い大型の交付金を復活させる考えはありますか?総理にお伺いいたします。


9 財政再建


 来年度の本予算案では、新規国債が34兆円発行されます。今年度と比べて2兆円あまり抑制され、総理は胸を張っておられます。しかし、それでいいのでしょうか?総理以下、政府・与党の方々は財政の状況を、甘く見過ぎておられませんか?
 利払費と償還費を合わせた一般会計の国債費は、今年度よりも増えるのです。さらに、借換債も含めた国債費は90兆円。社会保障関係費を抜いて、すでに最大の歳出項目なのです。
 来年度末の国債残高に目を転ずれば、10年前より300兆円の増加。20年前と比べれば600兆円も増えることになります。まさに異常な姿なのです。今から50年前の昭和40年、佐藤栄作内閣の下で、戦後初めて国債を発行した時の真剣な国会質疑を、もう一度振り返っていただきたい。
 当時、野党・社会党の木村禧八郎議員は「政治の体質が、放漫財政をもたらすような体質なんですよ。ここで深刻に反省しなければ、今後の日本財政は大変なことになりますよ」と述べ、福田赳夫大蔵大臣と激しく論戦しました。
 野党・公明党の中尾辰義議員もまた「一度公債を発行した後、急にこれを止めようとしても、ストップすることが果たしてできるのか、これは極めて至難のわざだ」と述べ、警鐘を鳴らしたのです。
 それに対して、福田赳夫大蔵大臣は、こう発言しました。「財政法は憲法に準ずる大切な法律です。特に第4条は尊重しなければならず、いたずらな解釈によって運用してはなりません。したがって、本年限りの特例として、法案の審議をお願いしているのです」と。
 赤字国債の発行を禁じた財政法4条の重みを、しっかりと感じていたのです。
 それに対して安倍政権はじめ歴代の政権は、巨額の国債を発行することに、慣れきっているとしか思えません。50年前の野党の心配がその通りになっているのです。もう一度、あの時の議論を、我々は思い出すべきではないでしょうか。
 もはや現在の予算編成そのものが、持続可能性を失っていると、言わざるを得ないのです。総理のお考えをお聞かせください。
 財政再建に向けた一つの肝は、補助金改革です。我々は今後、個々の不要な補助金や公共事業の個所付けなどを、あぶり出していきます。


10 東京オリンピック・パラリンピック


 オリンピック・パラリンピックの関連予算について伺います。先日の予算委員会で、民主党の玉木雄一郎議員が質問しましたが、政府が答えられなかった件です。来年度予算に、東京オリンピック・パラリンピックの関連予算は、いくら計上されているのですか?政府は、先週の金曜日に予算案を国会に提出したのですから、わかるはずです。お答えいただきたいと思います。
 新国立競技場の建設費1,500億円について伺います。誰がどのように負担するのか、国や東京都などの分担の大枠は決まったと報道されています。しかし、日本スポーツ振興センターが、自ら全額を負担するという考え方はないのでしょうか?
 財務諸表を見ると、センターは、現預金と有価証券で約1,300億円も保有し、毎年、サッカーくじ、TOTOの収益金が約500億円も入ってきます。新国立競技場を自主建設できるだけの体力が、充分にあると思います。なぜ、そこに多額の税金を投入する必要があるのか、お答えいただきたい。
 と同時に、国民から寄付を募って建設するという案も、政府から聞こえてきます。しかし、寄付を募るのでしたら、ハコモノではなく、むしろ、なじみの薄い競技やパラリンピックの選手を、直接支援するような寄付にしたらいかがですか?お答えいただきたいと思います。


11 おわりに


 21年前の1月17日、阪神淡路大震災が起こりました。総理は「しあわせ運べるように」という歌をご存知ですか?当時、神戸市立吾妻小学校に勤務していた臼井真先生が作った曲です。
 臼井先生は震災当時、音楽教師は何の役にも立たないと、精神的に追い詰められていました。そんなとき、たまたま夜のニュースで、ふるさと神戸の中心である三宮が崩壊した映像を目にしました。その瞬間、思いがこみ上げ、歌詞が心の奥から湧いてきて、思わず近くにあった鉛筆と紙を手に取りました。歌詞にメロディーをつけ、わずか10分でこの曲はできあがった、と聞きます。
 そして、清らかでやさしい子どもたちの歌声に皆が涙し、と同時に、生きる力が大人たちの間に湧いてきたのです。復興を後押ししてくれたのです。
 これまで10か国語に翻訳され、世界の被災地でどんどん歌われています。新潟中越地震や東日本大震災の被災地でも歌われています。
 今度は私たち大人が、子どもたちに幸せを運ぶ番です。


 野田前総理は、将来世代のことを考えて、社会保障と税の一体改革に突き進みました。その思いを軽んじ、増税分を、おカネに色が付いていないとばかりに、国土強靭化の名の下に、10年間で200兆円もの公共事業という、大盤振る舞いをしつつあるのです。そして、ついに、軽減税率導入の財源として、社会保障の「子育て世帯臨時特例給付金」と「総合合算制度」にまで切り込もうとしています。
 今、我々の世代が苦しくても、将来の子どもたちに良い時代をつなぐという発想が、感じられないのです。折しも、今年は選挙権年齢が引き下げられます。まさに今、もっとも必要なのは、将来世代のことを考えて、まつりごとを行うことではないでしょうか。
 当面、少子高齢化の進行は避けられません。つまり、働く世代がどんどん減っていくのです。そして、過去の政府の借金が1,200兆円、毎年の税収は50兆円余り。このままの政治を続けていけば、誰が考えても、子どもたちの世代が重税にあえぎ、社会保障制度が破たんすることは明らかです。
 今、我々の世代が我慢をし、税金のムダづかいを徹底的に切り、財政再建をし、将来の子どもたちの負担を、少しでも軽くする努力をしなければなりません。
 そのためには、まず、国会議員自らが身を切り、範を示さなければなりません。身を切る改革こそが、第一歩であるということを、ここに宣言し、私からの代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。


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審議の様子はこちらでご覧いただけます
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=45473&media_type=