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環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の妥結に関するコメント

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の妥結に関するコメント


平成27年10月6日
維新の党代表 松野頼久


紆余曲折を経たものの、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が妥結したことは、率直に評価すべきである。維新の党は結党時から、国益を守りながらTPPやFTA等の経済連携を主導し、外需を取り込む自由貿易圏を拡大すべきと主張してきた。日本は今後も、自由貿易圏の拡大に向けたルール作りをリードすべきである。今後、妥結した内容を精査して、賛否を決めるのが国会の役割となる。その際には、イデオロギーではなく、国益の観点から総合的に判断することになる。日米関係について言えば、何度も経済摩擦を経験した両国が、世界最大の自由貿易圏を作るルールで合意できたのは、意義深いことである。


TPP等で外国企業等に新規参入を認めると、どの国でも既得権益の反対にあうことになる。維新の党は、消費者利益のために、こうした既得権益を打破すべきと主張してきた。ただし、国内産業が生産性を向上させる時間を確保するため、何らかの激変緩和措置は、当然必要である。今回、牛肉や豚肉について、ある程度時間をかけた関税引き下げが図られているのは妥当である。


しかし、こうした方向性なしに、税金でひたすら既得権益を守ることには、我が党は賛成できない。TPPについては、コメ、麦、大豆、乳製品、牛肉・豚肉等の重要5項目が、最初から「聖域」として特別扱いとなった。日本国内でバター不足が未だに続くなか、ニュージーランド産乳製品の輸入枠で交渉が難航した。


戦後の日本政府は、国内農業を保護し続け、1994年のウルグアイラウンド対策費で2兆7000億円もの税金(事業ベースで6兆円)を費やしたが、残念ながら農業の生産性は低いままである。にもかかわらず、自民党農林族は、TPPについて、数年間で最低1兆円の農業対策費投入を政府に迫っていくと言う。交渉は妥結したが、農業をはじめ多くの分野で、まだまだ改革は必要である。


こうした改革は痛みを伴うので、国民の理解と支持が不可欠である。その意味で、TPPの交渉過程が、国民に開示されなかったことは大きな問題である。アメリカでは、条件付きで連邦議員に交渉段階での条文案の閲覧を認めたが、日本では最後までこれが許されなかった。我が党は、TPP交渉に関する情報開示を政府に求める議員立法を民主党と共同提出して、こうした密室的な手法を批判し、国会と国民の検証が必要と訴えた。今後も、国際交渉であれ国内の改革であれ、原則として全て国民に見える形で行うべきである。